思い切ってワールドクルーズ〜飛鳥Ⅱ乗船日記

2019 アジア グランド クルーズ 乗船日記 更新中

セントラルパークのサイクリングと美術館巡り

6月2日土曜日の朝7時にハドソン河の90番埠頭に接岸しました。
5万トンの豪華客船がバックで車庫入れをするような着岸作業は、中々見ごたえがありました。1等航海士を舳先に見張りに立てて、船長は船腹に張り出したブリッヂに出て衆人環視の中で指揮をとり、引き潮で流れが勢いを増す状況で、狭い埠頭にスムースに接岸させました。
しかし、9.11以来、一段と厳しくなった入国審査に時間がかかり上陸できたのは12時すぎです。700人の乗客一人ひとりの指紋と虹彩を記録・照合するためです。このような審査を続ければ世界中の旅行者のデータベースが出来てしまうと思います。何に利用できるできるか判りませんが、気味が悪いことです。
入国審査の列で一時間以上たたされたてやっと上陸したニューヨークですが週末の新宿・銀座の雑踏に負けない人ごみです。
それにもめげず、9番街と40ストリートの近くにあるダンス靴の専門店に行き壊れかけたダンス靴のかわりを買い、つぎに近代美術館まで行き、5階のカフェで一息いれて同じフロアの印象派の絵画を鑑賞しました。4階の抽象画はポンコツの感覚ではとても理解できないので、サラリと見て終わりにしました。ただ、鑑賞する人の数も少なく警備員もあくびをしていたので、私だけが判らない訳ではなさそうなので安心しました。

6月3日・日曜日は、1週間の洋上生活で緑が恋しくなったので、早めに下船してセントラルパークでサイクリングに挑戦しました。
ここのレンタル自転車は、俗に言う競輪自転車でペダルを反転させるとブレーキがかかり慣れるのに少し時間がいりました。
初夏の心地よい風を受けて一時間ほどかけて公園内を一周しましたが、意外と坂が多くよい運動になります。また、大きな岩がところどころに露出していて、この地域の地質が硬くて超高層ビルも建築可能なことがわかります。公園の周りに高いビルがあるので方向わかると思っていましたが、生い茂った木々が高層ビル群を隠してしまうことと高低のある曲線状の道路が方向感覚を失わせるようで、よそ者のわが夫婦に道を聞く人が何人か居たのには驚きでした。アジア系のニューヨカーと間違えられたのでしょうか。本当に色々な人種がいるので感心します。
午後から、アジアン・ソサイティーのアジアン・テイスト昼食で腹ごしらえをして、鉄鋼王フリッツの豪華な邸宅をそのまま美術館にしたフリッツ・コレクションを鑑賞しました。
この美術館は時代や流派で展示物が分類展示されずフリッツの好みで集めた美術品を居間・書斎・ダイニングなどの部屋との調和を配慮して装飾備品として置かれているのを部屋全体と一体で鑑賞する感じの美術館でした。
まるで豪華なお屋敷に迷い込んだ気分になる美術鑑賞です。
メトロポリタン・グッゲンハイムといった大美術館に行くには時間と体力が不足しているので、今回の場合は良い選択だったと思います。
それにしても大きくて豊かな街であることは短い滞在時間でもひしひしと感じました。また、何時か再訪したいものです。

出港は23時でしたが高層ビルぐんの灯りは消えずニューヨークは眠らない街でした。ただ、グランド・ゼロだけが空虚な空間を作っているのが海上からもわかりました。
世界中の文字の読める貧民たちにとって、この豊かな街と自分たちとの絶望的な格差を解消する手段が見つからないとき彼らがどう考えるのか心配です。
引き続きアメリカは自らの豊かさを守るために頑張り続けるでしょう、
自由と民主主義という大儀を振りかざして。